近くの校庭から風に乗って、弾んだ子どもたちの声が響いてきます。今日も元気に、運動場を走り回っている子どもたちを想像して、私の心も和みます。

 でも、ちょっと気になることがあります。最近、学校であんなに元気に遊んでいた子どもたちが、家に帰ると、その姿をほとんど見せなくなったことです。子どもたちが忙しくなったためでしょうか?家族は子どもの顔を見ると、勉強しなさい、早く塾に行きなさいと、口癖のようにのようにいいますね。勉強することはもちろん大切なことです。立派な研究や発明をして、世の中や人の幸せのためにつくす、それには、やはり勉強は欠かせません。それと同じように、子どもの時には、しっかりと友達と遊びなさいといいたいのです。勉強は、一生かけて続けていくものですが、自分の全力を挙げて友達と遊べるのは、中学一、二年生の頃までではないでしょうか。遊ぶことは体を丈夫にするだけでなく、遊びの中で、人としての大切な心構えやつきあい方を身につけていく、良い勉強の場でもあります。例えば、ゲーム遊びでは、みんなで意見を出し合って、遊び方やルールを決めたり、持ち場を決めたりします。みんなで決めたルールを守らなかったり、自分の責任を果たさなかったりすると、仲間に入れてもらえなくなります。嫌なことも、譲り合い、みんなが力を合わせてこそ、遊びも面白く、友達とのつながりも深まっていきます。子どもの時にしっかりと遊んで、人としての大事な心を育てていってください。

 世の中が豊かになり、欲しいものが何でも与えられ、ものに感謝したり、大切にしたりする心が失われ、それと共に、自分さえよければよいという気風が強くなってきています。自分が気に入らないと、また、思うようにならないと、理由もなく人を傷つけたり、暴力を振るったりする厭な事件もよく耳にするようになりました。どうか、みなさんは遊びの中で得られた温かい心を持って友情の輪を広げ、世界中の人々と仲良く手を取り合って暮らしてください。そして、テロや戦争のない、明るく平和な21世紀を築いてくれることを心から期待しております。